未払給与をめぐる紛争
ア、未払給与をめぐる紛争の類型
未払給与をめぐる紛争にもさまざまな種類がありますが、ここでは以下の4類型に分けることとします。
- 一般従業員の残業代や休業手当等の不払が争われる場合
未払給与をめぐる紛争の典型的なケースです。 - 管理監督者性が争われる場合(「店長」など)
「店長」、「部長」等の肩書を付けた従業員を管理職と見なし、残業代等は支払わない扱いとしていたが、その従業員から管理監督者性を争われて残業代等を請求されるケースです。 - 労働者性が争われる場合(完全歩合のセールスマンなど)
業務委託ないし請負で稼働させている認識だったので、出来高に応じた報酬だけを支払っていたが、雇用契約に基づく就労と主張され、所定就業時間就労した分の給与や残業代の支払を請求されるケースです。セールスマンなどを完全歩合制で稼働させる場合が典型例です。 - 給与減額の有効性が争われ、減額前の給与との差額を請求される場合
業績不振を理由として給与や手当を削減したり、一定の役職を解くのに伴い役職手当をカットした場合に、その措置の有効性を争われるケースです。
イ、各類型ごとの紛争予防策
一般従業員の残業代等不払が争われる場合
- 時間外、休日及び深夜の割増賃金支払義務は、労働基準法37条に明記されています。前述したとおり、労働基準法の規定は強行法規なので、労働者側からタイムカードなどの証明力が高い証拠を提出された場合には、労働者との合意内容いかんにかかわらず、消滅時効期間(支払期日から2年間)経過前の残業代等の請求はまず認められてしまいます。
注意すべきなのは、従業員が業務命令に基づくことなく、従業員自身の判断で就業時間外に社内に残ったり、休日に出社した場合です。使用者側がこれを漫然と放置すると、黙示の残業ないし休日出勤の指示があったと見なされ、残業代や休日出勤手当の支払義務が生じてしまう可能性があります。
したがって、残業の必要がない場合には定時に退社するように、休日出勤の必要がない場合には出社しないように、明確な指示を出すことが必要です。
また、残業や休日出勤をさせる場合にも、可能な限り時間を区切った指示をすべきです。
これらの指示は、できれば書面等の形で交付ないし掲示をすべきです。少なくとも、上司の業務日誌に、これらの指示を行った旨と指示の内容を明記しておくべきです。訴訟等に至った場合には、何よりも物的証拠が物を言います。
なお、残業代や休日出勤手当を含める趣旨で給与を高額に設定する例も見受けられますが、このような場合には、本給部分と残業代等手当部分を明確に区別したうえで、手当が残業代等の代わりであることを賃金規程や(※)労働契約書に明記すべきです。給与明細にも、本給部分と残業代等手当部分とを区別して記載すべきです。手当が残業代等の代わりであるという合意(いわゆる固定残業代制とすることの合意)の存在を立証できれば、手当の額が法定の残業代等の額を下回らない限り残業代等の支払義務を免れることができ、手当の額が法定の残業代等の額を下回る場合にも、差額を支払えば足りることとなります。ただし、月給制の場合、ある月の手当の額がその月の法定残業代等の額を上回っても、超過部分を翌月に持ち越すことはできないことに注意が必要です。
※賃金規程は就業規則と一体となるものなので、固定残業代制とすることを賃金規程に明記することが従業員にとっての不利益変更と評価される場合には、後述4で紹介する就業規則変更の要件を充足する必要があります。 - 管理監督者性が争われる場合
労働基準法41条2号は、時間外手当等の支払義務に関する規定を管理監督者については適用しないと明記しています。
しかし、管理監督者に該当するか否かは、事業の経営に関する重要事項にどの程度関与しているか、勤務時間に一定の裁量が認められているか、給与面で管理監督者にふさわしい待遇を受けているかなど、過去の判例が示す複数の要素を総合的に考慮して判断されます。「部長」、「店長」などの肩書を付ければそれのみで管理監督者と認められるわけではないことに注意が必要です。
特定の従業員を管理監督者として処遇したい場合には、過去の判例でどのような例が管理監督者と認められたか(あるいは認められなかったか)を検討したうえで、労働契約書の記載や実際の労務管理に細心の注意を払う必要があります。 - 労働者性が争われる場合
労働者性の有無(使用者との契約が雇用契約か、業務委託ないし請負契約か)は、時間的・場所的拘束性がどの程度あるか、業務の諾否の自由があるか(専従義務があるか)、指揮命令関係がどの程度認められるか、社会保険料の控除がなされているかなど、実に多様な要素を総合的に考慮して認定されます。
労働者性をめぐる紛争を予防するためにも、過去の判例を幅広く検討し、ポイントを的確に押さえた契約書の作成と労務管理を行う必要があります。 - 給与減額の有効性が争われる場合
給与の減額には、原則として従業員の同意が必要です。
従業員の配転は基本的に使用者の人事権に基づいて行えるものなので、役職手当は、その役職を解く措置(配転)の合理性が否定されなければ従業員の同意なくしてカットできる可能性が高いのですが(※注①)、基本給やその他の手当を、従業員の同意なくして減額するハードルはかなり高いのが現実です。
具体的に説明すると、就業規則が存在する会社の場合、就業規則が労使間の契約内容を定めることとなるため、基本給等の減額は就業規則の変更という形で行う場合が多いのですが(※注②から④)、就業規則の不利益変更には、原則として労使間の合意が必要となります(労働契約法9条)。
例外的に、変更規定の周知、変更内容の合理性という要件を充たせば、労使間の合意なくして就業規則の不利益変更を行うことが可能ですが(労働契約法10条)、要件を充足していることの立証責任は使用者側に課せられます。また、判例は、不利益変更の合理性をかなり厳しく判断しています。
やむなく給与の減額に踏み切る場合には、事前に弁護士と協議し、労使間の合意が可能かどうか、合意を成立させるための手続をどのように経るべきか、給与減額の必要性と合理性について適切な立証を行うことが可能かどうか、といった観点から慎重な検討を行う必要があります。
※注① これは、例えば課長から係長へ役職を引き下げる降職の場合です。
職能資格により賃金管理を行っている場合に職能資格を引き下げて減給する降格(職能資格A1からA2への引き下げなど)については、就業規則の根拠規程が必要になるとともに、査定の合理性も慎重に判断されます。
※注② 就業規則に非正社員への適用がない旨が明記されており、非正社員に適用する別個の就業規則(パート・アルバイト就業規則など)が存在しない会社・団体において非正社員の給与を減額する場合には、個別に同意書を得ることになるでしょう。
※注③ 管理職など一部の従業員の給与を減額する場合にも、まずは対象者の同意書を得るよう試みることになるでしょう。また、同意が得られた場合にも、同時に、会社の業績不振等の事由により給与が減額されることがある旨を就業規則に付記する変更手続を取った方が安全です。
※注④ 労働組合が存在する会社・団体が給与減額を行う場合には、使用者が労働組合と労働協約(労働組合法14条)を締結することによって給与減額を実現することも可能です。ただし、労働協約の効力は、一定の条件をみたさない限り当該組合員以外の者(非組合員、少数組合員)には及ばないことに注意が必要です。また、労働協約を締結すれば無限定に減給ができるわけではなく、合理的な範囲を逸脱した減給は無効とされる可能性があります(中根製作所事件判例等)。
解雇の有効性をめぐる紛争
ア、解雇の類型
- 普通解雇
通常解雇とも言われる形態です。従業員が病気などで労務を提供することができなくなったり、労務の適格性を欠いていると判断された場合が一般的な例として挙げられますが、最近は、勤務成績が悪い従業員をリストラ目的で解雇する例が増加しています。
解雇の有効性をめぐっては、解雇権濫用法理という判例法理が確立されており、平成19年に制定された労働契約法により、同法理が明文化されました(同法16条)。
労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。
一見、権利の濫用にわたらなければ解雇は自由にできるという内容にも読めますが、解雇の合理性と相当性の立証責任は使用者側に課され、解雇の合理性・相当性が認められるハードルも高いのが現実です。
無断での遅刻・早退・欠勤や業務命令違反・怠業を繰り返し、その都度注意をしても改めない場合などには解雇の合理性と相当性が認められる可能性を相当程度見込めますが、単なる能力不足を理由とする解雇は困難です。例えば、特定の専門職に限定した雇用であり専門的な知識と能力を充分に有していることを前提として採用されたこと、それにもかかわらず知識や能力の不足により業務に適応する可能性が認められないこと、といった事実を、使用者側で的確に立証することが求められます。 - 整理解雇
会社の経営を維持するため、人員削減目的でなされる解雇です。
整理解雇の有効性を判断する基準についても判例法理が確立しており、①人員削減の必要性、②人員削減の手段として整理解雇を選択する必要性、③解雇対象者選定の妥当性、④解雇に至る手続の妥当性、が整理解雇の4要素として挙げられています。
これら4要素の全てを確実に充足することまでは求められませんが、4要素を総合考慮したうえで整理解雇の合理性・相当性の有無が判断され、総合考慮の結果、整理解雇の合理性・相当性が否定された場合には、解雇権の濫用として整理解雇は無効とされます。
4要素のうち、①人員削減の必要性は、整理解雇まで考えざるを得なくなったケースであれば多くの場合に認められると思われますが、②整理解雇を選択する必要性が認められるためには、配転出向、一時帰休、希望退職の募集など、使用者の状況が許す範囲での代替手段を講じる必要があります。③解雇対象者選定の妥当性が認められるためには、勤務成績や他の部署への配転活用の可能性など、客観的で合理的な基準を設定して、それを公平に適用することが必要です。④手続の妥当性が認められるためには、整理解雇の必要性について充分な説明を行うこと(労使協定で組合などとの協議を行うこととされている場合には、その協議を経ること)が必要です。 - 懲戒解雇
懲戒処分としてなされる解雇です。
懲戒処分は就業規則の根拠規定がなければなし得ないので、懲戒解雇を行うためには、就業規則に、懲戒処分の一環として懲戒解雇という処分が存在すること、及び懲戒解雇の事由を明記することが必要です。 - 諭旨解雇(諭旨退職)
懲戒解雇の事由があるが、情状を酌量して懲戒解雇よりは条件面で恵まれた解雇とする場合(諭旨解雇)、もしくは、懲戒解雇の事由がある場合に自主退職を促し、退職届を提出した場合には自主退職の扱いとする場合(諭旨退職)をいいます。
諭旨解雇、諭旨退職を懲戒処分として行う場合にも、やはり就業規則の根拠規定が必要です。
イ、具体的な紛争予防策
- 就業規則の整備
解雇事由は、就業規則の必要的記載事項とされています(労働基準法89条3号)。
普通解雇、整理解雇は就業規則の根拠規定がない場合にも可能ですが、解雇に合理性があることを説明する際には、就業規則の根拠規定を示さないとなかなか説得力が生まれません。したがって、就業規則を制定ないし改定し、解雇事由を適切かつ具体的に記載することが必要です。
前述したとおり、懲戒解雇、諭旨解雇・諭旨退職の懲戒処分は、就業規則に根拠規定がなければそもそも不可能なので、懲戒解雇、諭旨解雇・諭旨退職の懲戒処分を行う場合には、就業規則に、①懲戒処分として懲戒解雇、諭旨解雇・諭旨退職が予定されていること、②懲戒解雇、諭旨解雇・諭旨退職の事由を明記することが不可欠となります。
なお、就業規則に懲戒解雇の事由を明記したとしても、懲戒解雇は容易には認められない傾向があります。業務上横領や暴行などの刑法犯となりうる事例や長期間の無断欠勤の場合はともかく、社内の規律を乱したことや勤務態度の不良を理由とする懲戒解雇は、相当の頻度・程度に達していないと有効とされにくいのが実情です(※)。
したがって、中間的な解決方法として、諭旨解雇・諭旨退職を就業規則に明記することが有効です。諭旨解雇・諭旨退職を就業規則に規定していない場合が意外と多く見受けられるため、念のため付言しました。
※ 懲戒解雇の意思表示を行うとともに、予備的に普通解雇の意思表示も行っておけば、懲戒解雇の要件を充たさなくとも、普通解雇の要件を充たせば普通解雇が可能です。
しかし、懲戒解雇の有効性まで肯定されるかどうかは微妙であるが、相当程度の非行が認められることは確かであり、使用者としては何らかの懲戒処分を行う必要があると判断せざるを得ない場合も生じ得ます。そのような場合には、諭旨解雇等の懲戒処分を就業規則に明記しておいた方が柔軟な対応をすることが可能になります。 - 解雇事由の存在を立証するための資料の準備
就業規則の整備は、解雇をめぐる紛争を予防するための大前提です。
紛争を予防するためには、これに加えて、解雇事由が存在することを解雇通告時に説得的に説明するための資料をふだんから準備することも必要です。
資料の例としては、業務命令違反や怠業をした場合の注意書ないし始末書、勤務態度や勤務成績を記した上司の業務日誌、過去に行った懲戒処分に関する記録などが挙げられます。煩雑ではありますが、このような細かい資料の積み重ねをしておくと、紛争に至った場合の立証にも大いに役立ちます。 - 整理解雇を行う場合
整理解雇の有効性は前述した4要素の総合考慮により判断されますが、4要素(特に手続の妥当性)を可能な限り充足すべく、事前に弁護士と協議したうえで、慎重なプランニングを行うことが必要です。 - 円満な自主退職を実現するためには
これまで述べてきたとおり、日本の労働法制のもとでは解雇のハードルは高いのが現実です。
したがって、事情が許すのであれば、話し合いにより円満な自主退職を実現するのが最善の方策です。
ただし、違法な退職勧奨(退職強要)にならないよう細心の注意が必要です。退職勧奨の方法や程度を誤ると、事実上の解雇として解雇無効を争われるおそれがあるうえ、違法な退職勧奨による精神的損害の賠償まで求められる可能性があります。どの程度までの退職勧奨が許されるか、予め弁護士に相談することが必要です。
非正社員(パート・アルバイト・契約社員)の処遇をめぐる紛争
ア、有期労働契約の問題点
- 雇用調整の手段としての非正社員採用
正社員を採用すると解雇等が容易でないことを見越して、いわば雇用調整の安全弁として、パート、アルバイト、契約社員といった非正社員を、契約期間を区切って採用する企業が増えています。 - 雇止めをめぐる紛争
しかし、有期労働契約により非正社員を雇用した場合にも、契約期間の満了による雇止めを容易に行えるとは限りません。近年は有期労働契約により就業せざるを得ない労働者が増加しており、契約が更新されると期待する非正社員の割合が高いので、非正社員であるという一事をもって不用意な雇止めを行うと、雇止めの有効性を争われる可能性があります。
むろん、一般論としては、正社員の解雇よりも非正社員の雇止めの方が容易ではありますが、非正社員の業務内容及び勤務形態が正社員とほぼ同様であり、更新も複数回行っているような場合などには、解雇権濫用法理が類推適用され、雇止めが無効とされることもあり得ます(※)。
なお、平成25年4月に改正された労働契約法では、有期雇用の労働者が同じ使用者のもとで5年を超えて働いた場合、労働者が希望すれば、期間の定めのない雇用契約への転換が使用者に義務づけられることとなりました。この点にも注意が必要です。
※ この雇止め法理は従前から判例法理として確立していましたが、改正労働契約法はこの雇止め法理も明文化しました(労働契約法19条)。有期労働契約の反復更新により、雇止めをすることが解雇と社会通念上同視できると認められる場合、または労働者が有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由が認められる場合に、使用者が雇止めをすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときには雇止めは認められず、使用者は従前の有期労働契約と同一の労働条件での有期労働契約の更新または締結の申込みを承諾したものとみなされることとなります。雇止め法理を明文化した条文は、公布日である平成24年8月10日からすでに施行されています。
イ、非正社員の処遇をめぐる紛争の予防策
- 採用時の注意点
まず、契約期間、労働条件を明記した労働契約書を作成すべきです。労働契約書を作成せず、辞令交付のみで有期労働契約に従事させた場合に雇い止めが無効とされた裁判例も存在します。
また、契約時に、契約更新が保証されるものではないことを明確に説明することも重要です。雇い止めの効力の判断にあたっては、採用時の使用者側の説明内容も考慮要素とされます。
さらに、非正社員が従事する業務の内容、勤務の形態(勤務時間数)についても、可能な限り正社員と差異を設けることが望ましいと思われます。 - パート・アルバイト等就業規則を制定することの利点
正社員に適用される就業規則とは別個に、非正社員に適用されるパート・アルバイト等就業規則を作成すると、就労条件の区別などを一律に明確化でき、正社員と非正社員を区別した労務管理が容易化します。
安全配慮義務をめぐる紛争(ハラスメントなど)
ア、安全配慮義務とは
安全配慮義務とは、労働者が就労するに当たり、労働者の生命及び身体を危険から保護するよう配慮する義務をいいます。
従来イメージされていたのは、工場や工事現場で就労する労働者が事故により受傷することを防止する義務といったものでしたが、近年は、オーバーワークやハラスメントにより精神的な健康を害することを防止する義務(メンタルヘルスケア)の重要性が強調されています。
イ、具体的な紛争予防策
オーバーワークについては、従業員の就労時間と業務量を可能な限りきめ細かくチェックし、特定の従業員に業務負担が偏らないよう配慮することが必要です。各従業員に割り振った業務の一覧表をパソコンで共有し、管理職が各従業員の業務量と進捗状況を一元的に確認できるシステムを構築することも、オーバーワーク防止に有効かと思います。
近年増加しており、使用者側に特段の注意が必要となるのは、ハラスメント(パワーハラスメント、セクシャルハラスメント)を理由とする紛争です。上司が当たり前の注意をしたに過ぎないという認識であっても、注意を受けた従業員からはハラスメントと受け取られて、思わぬ紛争に至ることがあります。
ハラスメント防止対策としては、ハラスメントの定義やハラスメントに至らないための注意点を明確に記載したハラスメントガイドラインを制定し、従業員(特に管理職)に周知させることが有効です。弁護士等に依頼して、ハラスメント防止を含めたコンプライアンスに関する研修を年に1回程度開催する企業も増えています。
労働組合が関与した場合の対処方法
企業内に組合が存在しない場合にも、個人で加入できる合同労組に労働者が加入し、合同労組から団体交渉の申し入れを受けることがあります。
このような場合、団体交渉を安易に拒絶することは禁物です。正当な理由がない団交拒否は不当労働行為となるため(労働組合法7条2号)、団交拒否を理由として労働委員会に救済申立がなされ、紛争が無用に長期化する危険性があります。
したがって、団体交渉の申し入れには誠実に応じる姿勢を見せる必要がありますが、団体交渉の場で労組と適切に交渉を進めるための準備が肝要です。労組との団体交渉はかなりデリケートな問題を孕むので、団体交渉の申し入れを受けた時点で弁護士に相談し、交渉のセッティング方法、要求内容に対する回答方法についてアドバイスを受ける必要があります。団体交渉の場にも弁護士の同席を求めるべきでしょう。