事前予防することの重要性

紛争解決手続に至った場合の負担

いったん労働紛争が生じると、多くの場合、解決まで多大な時間と労力を費やします。

労働紛争解決手続の種類については、4労働紛争解決手続のご案内で詳しく述べますが、例えば訴訟の場合、通常、解決まで1年以上の時間がかかります。

平成18年に導入され、今では多くの事例で利用されている労働審判という制度が利用された場合も、申立てから解決まで最短でも2ヶ月程度はかかります。労働審判は長期化しがちな労働紛争を早期に解決するために導入された手続ですが、労働審判の内容に当事者のいずれかが異議を申し立てれば訴訟に移行するため、審判の期日で和解ができず、審判の結果に当事者のいずれかが異議を申し立てた場合には、訴訟と同様に解決まで多くの時間を要することとなります。

また、証拠の収集、期日前の打ち合わせ、代表者や直属上司等の陳述書の作成(最終的には弁護士がドラフティングするとしても、弁護士が代表者や直属上司等から詳細な聞き取りをする必要があります)、証人尋問の準備といった使用者側の労力負担も軽視できません。

訴訟の場合の労力負担が大きいことは比較的容易に想像できるでしょうが、労働審判の申立てがなされた場合にも、第1回期日までの短い期間に集中して主張・立証を行う必要があるため、使用者側の事前準備の負担は相当大きなものとなります。

事前予防の重要性

労働法務に携わる弁護士として日々痛感するのは、ふだんの労務管理を適切に行っておけば防止できる紛争がいかに多いかということです。労働契約書の不備、就業規則の規定の不備、労使間のコミュニケーションの不足、退職時の手続不備などによって生じる労働紛争は、事前の予防策を適切に講じておけば、かなりの割合で防止できます。

事前の予防策を適切に講じるためには、労働法に通じた弁護士とふだんから連携することが極めて有効です。

少なくとも、労働紛争に至る可能性を使用者側で察知したときには、ただちに労働法に通じた弁護士に相談することをお勧めします。

日常の労務管理に必要な手続(雇用保険への加入手続など)については社会保険労務士の先生が習熟していると思われますが、法的紛争の予防に際し、紛争解決手続にまで至った場合の帰結から逆算して適切な対処方法を探るためには、すべての労働紛争解決手続について代理権を有する弁護士の知見を得る必要があると考えます。

以下、労働紛争の類型を示しながら、具体的な予防策について説明します。

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